vol.12テキストレポート

12回目のニイガタブックライト一箱古本市を終え、久しぶりにテキストレポートを書こうと思います。このテキストレポートは主に、自分達の次回への備忘録と、一箱古本市や類似イベントを主催される他の方に向けて、少しでも役に立てばという思いで書いてきました。振り返ってみるとvol.07以前はほぼ毎回書いているようです。良い機会なのでこれらも読み直して、改めてまとめてみました(すべてメニューの「これまでのイベント」からご覧いただけます)。

【目次】
1)これまでの振り返りと注意点まとめ
2)今回:vol.12について

文責:亀貝太治(http://kamegaiartdesign.com/

1. これまでの振り返りと注意点まとめ

今までのレポートを読み直してみると、改めて「朝の受付」のことは特記しておいた方が良いように思います。私達の試行錯誤の成果です。参考にしていただければ幸いです。

●出店位置は事前に事務局側で決める。
●それによって、朝の受付(事務局で一括受け付け、集金&場所決めする等)を廃止できる。
●受付を廃止することで、出店者の来場時間をバラつかせ、混雑を緩和できる。
●開始直後に係が回って、必要書類配布と集金、説明を行う(これを受付でやっていると待ち時間がかかる)。開始前は何だかんだと店主側ができないことも多い。1回で終わらせるには開始直後が良い。


↑朝の受付を行っていた頃(vol.03)の写真。先着順で場所を決めていたこともあり、搬入時間も集中。受付で説明をしたので行列待ちができる上に、荷物の移動も設置もすべてが遅れてしまいました。


↑今回(vol.12)の朝の光景。手前がブックライトスタッフ。二人一組で、エリアの両端から開店後のお店を回り集金と配布を行います。

その他に散見されたのは、初めての開催地で、出店数の見極め・事前レイアウトの見込み違いの問題。同じ場所でずっと開催するなら問題ないのですが、初めての会場の場合は、できれば二人以上で同時に下見して、出店レイアウトをチェックした方が良いように思います。人の流れとブロック、出店者の個性などを鑑みて出店位置を熟考しましょう。


↑vol.06、最初に旧沼垂市場(現・沼垂テラス商店街)で開催した時は、出店数見込みが甘く途中で何度もレイアウトのやり直しをした苦い思い出が。一度決まれば2回目以降は楽なのですが。最初は(当時その殆どが空き屋だった)建物の中で出店する予定でした(!)。

今回は何とかクリヤできたのですが、広報のスピードの問題。地方月刊誌系ですと、開催日直近の発売日からできれば2ヶ月前にはリリースを出しておくと、媒体社の方に「もう少し早く出してくれればねぇ…」とぼやかれずに済みます。フリーペーパー系の告知であればずっと遅くても大丈夫ですが、早いほうに合わせて問題はありません。

ニュースリリースの出し方も、これまでは媒体のお知り合いにそれぞれ出していましたが、今回からは通常の方法で市政記者クラブと県政記者クラブに規定枚数を提出しました。新潟の場合は前者が14枚、後者が37枚となっており、それぞれ市役所、県庁4階の記者クラブに持ち込めばOKです。かえってこちらの方が簡単かも知れません。ニュースリリースの書き方は沢山本が出ているのでどれか1冊読めばすぐ理解できます。


↑ニュースリリース。今回は地元新聞、全国紙地方版、月刊誌×2、隔週刊フリペ、WEB情報サイトなどに掲載していただきました。

その他毎回刷っているちらしは予算不足のため部数を少し落としましたが、ギャラリーや公共スペース、開催地近隣の商店街を周り、お店や喫茶店など、本好きの方がいそうな場所に置いてもらっています。一箱古本市in現代市はこれで7回目ですが、これだけ続けていけば、最初は冷たかったお店の方にも笑顔で受け取っていただけるようになります。知り合い以外のお店にお願いするのは結構大変ですが、こういう仕事は大切なので是非(あまりストレスに感じない人に)チャレンジして欲しいです。一箱古本市の集客はWEB経由の広報だけでは不十分だと常に感じていますので、紙のちらしを省くことはあまり考えていません。

お客様は多いに越したことはありません。沢山売れれば店主様も楽しんでいただき、次回出店に繋げることができます。上記のようなリリースと同時に、媒体特性に合わせ(特に一箱古本市は新聞と相性が良いです)お知り合いの記者などいれば何か別ネタ(ゲストや関連イベント)と合わせるなど、とりあげてもらいやすくなるような方法はないか相談するのも良いと思います。

あとvol.05のレポートでは、「一箱」にまとめる意味について、BACH幅さんの出店方法を見ながら感じたことを書いたりしていましたね。これもずっと続く問題です。ニイガタブックライトとしてはご本人に指摘するなどのことはやっていません。一箱のルールを破ったからといって売り上げが上がる訳でもなく、その辺りは言わずとも気付いていただきたいと思います。事前の注意はしつこく書いています。


↑vol.05の幅さん。

その他、特に書いていませんが、開催する地元の方との関係づくりも大切です。自省込めて書きますが、何回も開催していく中で甘えが出てこないよう、気を付けます。そのあたり良く気が付くスタッフがいれば意見を聞いたりチェックしてもらうと良いと思います。

2. 今回:vol.12のこと

雨が降ったらアウト、の毎回ドキドキなニイガタブックライト春の一箱古本市は、現代市に合わせ毎年6月第2日曜日に開催されます。今後もこの予定ですのでぜひ予定しておいてください。雨でも決行するのですけどね。

今年は初めて開催日がずれました。本当は現代市実行委の方々が消防団のイベント参加のために中止になる予定だったのですが、周りの「やって欲しい」の声に押され1週遅れの第3日曜開催となったそうです。

第1回目から欠かさず参加いただいている、一箱古本市仕掛け人の南陀楼綾繁(なんだろう・あやしげ)さんはもう一箱古本市in現代市の顔となっていただいて、神社内の定位置に毎回出店いただいています。これまで7回に及んだ「一箱古本市in現代市」の歴史をすべてご覧になっている訳で、なんとも有り難いお話です!南陀楼さんには毎回一箱古本市の前後にワークショップやトークイベントを開催していただいています。今回は前日の6/17(土)に南魚沼市・池田記念美術館で「伝える道具、フリーペーパーの設計図を作るワークショップ」を、翌日の6/19(月)には北書店で「リトルプレス鼎談」が開かれました(後者の写真を後でアップします)。


↑vol.12。南陀楼さんはいつもこの位置に!


Mr.一箱古本市の南陀楼綾繁さん。彼なくしては勿論今のニイガタブックライトもありません。昨年は全国の一箱古本市ネットワークを生かした初の雑誌『ヒトハコ』を創刊されました(ニイガタブックライトも1P寄稿しています)。

さて、これまでの一箱古本市in現代市では、毎回南陀楼さんの他に作家さんや本業界の方を「ゲスト」にお呼びしていたのですが、今回はいませんでした。特に理由はなく、今までは単に何かのタイミングでお誘いする必然のようなものがあって、今回はたまたまそれがなかっただけです。

(南陀楼さん以外のゲストがいないのが)初めてのことなので、最初は「いいのかな…?」と多少思いつつも始めたのですが、結果的にはとても落ち着いた、これぞ一箱古本市in現代市の定番、「レギュラー」とはなんぞや、を改めて感じさせる回となりました。勿論今回だけでなく、初めてこの地で一箱古本市を始めてから6年間の流れを見てきて、この地の皆さんの様子(文化度が高く、読書家の方も多く、子どもから年輩の方まで万遍なく訪れる)と、現代市の愛され方を見てきて、そして今回の「レギュラー」回を終えて。この様子であれば、今後も同じ調子で続けられるのでは、と個人的に思えた、ありがたい回でした。

天気は一日中曇り。日差しを遮る術のない学校町では、これ以上ない理想の天気と言えるかも知れません。そのおかげか昨年のような灼熱にもならずに、比較的過ごしやすい年だったと思います。

出店者の申込状況については、年々申込が遅く、少なくなっています。最終的に締め切った時点で全46箱。次回からは50箱上限で充分のようです。(ちなみに定員に達しない場合の「締め切り」というのは、目録制作と出店位置決めのリミットに従うことになります)

出店者が少なくなっているのは、新潟に他の一箱古本市の開催が増えたから、という理由が一番大きいと思います。これぞまさにニイガタブックライトを立ち上げた時の理想でもあった訳ですから、本当に嬉しく思います。新潟に1つも「一箱古本市」がなかった6年前とは随分事情が変わってきました。もはや「一箱古本市とは?」を最初から説明する機会も然程なくなってきています。ニイガタブックライトの今後の立ち位置や役割も変わっていくことになるかも知れません。いずれにしても続けていけるやり方で考えたいと思います。


↑この夏、8/19にも開催される新潟市東区の「アカミチフルホンイチ」前回の様子。

出店位置に関しては、北書店・佐藤店長の采配でいつもの流れとはかなり変えたところがあります。これまで神社内に出店していた飲食店を外に出しました。飲食の集客と一箱の売り上げとは直結しないのでは?むしろマイナスになっているのかも、という仮説のもとに変更しましたが、これも結果的には良かったように思います。神社内の出店者もいつもとは一部変えています。


↑今回vol.12。佐渡から出店の「おいしいドーナツ タガヤス堂」さん。およそ1時間あまりでドーナツは売り切れてしまいました。

そんなに多く刷った訳ではないのに、結構大量の目録(出店者紹介)が残ってしまったのは大きな反省点です。今までは一箱古本市エリアの両端と事務所に置いてあるだけ、だったのですが、これだけだとあまり必要性を感じてもらえないようです。何しろ目の前にずらーっとお店が並んでいますので、そっちが先になっちゃうでしょう。だけど手にとってもらったら、絶対そっちの方がずっと楽しんでもらえる筈だし、持ち帰って見返してもらうこともできます。手にとってもらうきっかけを作らないといけません。

次回からは、受付(係が出店者を回る)の際に、店主と相談しながら各一箱の店頭にも目録を置いて貰えるようにしたいと思います。


↑これは前回vol.11の時の写真。置き方にも問題あるのでしょうが、このためだけに大きな什器を持って行くのはちょっと厳しい…。

今回初めて、表彰式&懇親会の会場を、北書店から徒歩3分ほどの医学町ビルに移しました(北書店でモロモロ予定が重なり厳しくなったのが理由です)。会場が広くなってゆったりした分、やはり北書店より少し離れている関係か、初めての場所であるせいか、若干参加者は減ったように思います。その後の懇親会も含め、席移動もやりやすく会場の使い勝手としては良かったと思いますが、でもやはり、北書店が「ホーム」ですね。落ち着きます。

テキストレポートのアップが随分遅くなったことをお詫びします。
来年も、同じ場所で皆さんとお会いできることを心から楽しみにしています。

今年秋の開催は未定です。何か決まりましたら当サイトとTwitterで告知しますのでぜひフォローしてください。
今後ともニイガタブックライトを宜しくお願いいたします。

文責:亀貝太治(http://kamegaiartdesign.com/