vol.05レポート
ニイガタブックライトvol.05「一箱古本市in現代市2013」おかげさまで無事終了しました。
これで3回目になる学校町通りでの開催。毎回の反省の繰り返しで、スタッフの労力をできるだけ軽減、持続可能な運営を目指してすこしづつマイナーチェンジしています。そのおかげもあってか、準備もいつもに比べればかなりスムーズになってきた印象です。
ただ、学校町は特に朝の搬入がうまくいきません。これは
●入り口で通行止めにする時間と、実際に「車が入って来なくなる」時間とのギャップ。
●「荷物仮置き所付近への一時駐車の車」「自分のお店の場所に荷卸しをする車」「通行止めでも動いている地元の方の車」の3者がそれぞれ狭い道に溢れ、通行が滞ってしまう。
などの原因が挙げられます。現場ではできるだけスムーズに流れるよう誘導を考えるのですが、今回も多くの店主様にご迷惑をおかけしたことと思います。申し訳ございませんでした。
さて、天気は…良過ぎるほどの好天でした。日光対策を!と店主マニュアルやTwitterでも呼びかけましたが、パラソルなど用意できなかった店主様はかなりの日差しを一日中浴びることになったと思います。学校町通りは日もよく当たるのです。
反面、スタッフ関係者やゲストが出店した天神様(菅原神社)の中は非常に風が通りやすく寒いくらいで、実際気分が悪くなって通りに一時逃げ出す、という方もいらっしゃいました。
雨については前回検証した結果、特別な対策をせずに迎えることになりましたが、今年は昨年のように雨予報はなく安心して当日を迎えることができました。
お客様数をカウントする術はないのですが、店主様の意見や個人的な実感からも、昨年の一箱古本市in現代市より若干お客様は増えているように思います。今回はスタッフの事情で事前のパブリシティなどのPR活動がとても充分とは言えない中でスタートしたのですが、このように多くのお客様にいらしていただけたことは本当に嬉しく思います。
店主は総数で70箱。開始日の約1週間前で定数に達しました。数は…どうでしょう。本来は50箱前後が良いのでしょうが、学校町のように「効率良い廻り方ができる」レイアウトであれば、70位はそれなりの売上を保てるギリギリの箱数かも知れません。これは売上の集計を見ていても感じる所です。(勿論、店主の皆さんの売り方のスキルが上がってきたのも要因だと思いますが)
今回、学校町ではお馴染の「ミスター一箱古本市」南陀楼綾繁さんに加え、ブックディレクターの幅允孝(→BACH)さん(この肩書きは幅さんが付けたものではなく、『情熱大陸』出演時に必要だからとTV局の方に勝手に付けられたものだそうです)がゲストとして参加。午前はお店を廻っていただき、正午から天神様で出店していただきました。
幅さんは今回の出店が決まって当日いらっしゃるまでに、何とこのサイトの過去の箱写真を見ていらっしゃって、「年々箱の大きさというか総量が多くなってるね。これなら小さい規模の方が目立つし売れそうだ」という予測を持っていらっしゃったそうです。さすがです!
実際幅さんが出された冊数って、おそらく50冊にも満たない程度じゃないでしょうか?(間違っていたらごめんなさい。でも少なくとも、一度にお店に並べた冊数は2〜30冊程度だった気がします)いつもの幅さんのやり方で、まず独自のカテゴリに分けて、そのカテゴリのPOPを書きます。数冊の本がかたまりになった、いくつかのカテゴリというかグループ。それを、いらっしゃるお客様に向けて丁寧に説明します。お客様が手に取った本ほとんどに丁寧に幅さんの解説がつくので、どんどん売れていきました。(半数は幅さんだってことは知らないお客様だったと思います)売れて残りが少なくなると、カテゴリとしての性質も変わってしまうのか、反応を見て考えが変わるのか、実にこまめにPOPを書き直したり、出したり入れたりしています。ああ、こんな売り方は一箱古本市ではあまり考えたこともなかったけど、なるほど楽しそうだなぁと思いました。すべてコミュニケーションを前提とした、「手売り」とでも呼べそうな売り方。(ただこのやり方は、幅さんのような読書量でもない限り、処分する本を並べるのではなくて一箱古本市用に大好きな本を仕入れるやり方の方が向いているかも知れませんが)
今回、終了後に南陀楼さんからいただいた「どんどんインフレが起きていて、そもそもの『一箱』の意味が失われているのではないか」というようなコメントと、この幅さんの売り方は奇しくも同じことを指摘しているように思いました。
私自身も当日まで忘れてしまっていたのですが、最初に新潟で一箱古本市を始めよう、と思った大きなきっかけになった言葉が
「段ボール一箱なら、素人がプロに勝てる」
というフレーズだったのです。南陀楼さんと呑んだ時に聴いたのだったかな?忘れちゃいましたけど。
大きな店の大きな品揃えなら、質量もテクニックもあるプロにはかなわないけど、段ボール一箱に限ったお店だったら、プロに負けない魅力的な「店づくり」が出来る。その未知の可能性にワクワクしました。
ここで店主の皆様にもう一度考えていただきたいのです。
「むやみに量を多くしたからって、果たして売上は上がるのか?」
例えばお店が全部で3つや4つなら、きっと量が多い方が選択肢も増え、確かに売上は上がる気がします。
だけどニイガタブックライトの一箱古本市はいつも60箱以上。お客様はそれだけの数の「お店」を次々と見て廻っています。
その気持ちや、見える景色を想像してみましょう。
きっと数を多くするだけがお客様に伝わる方法ではないと思います。
次回の一箱古本市は、あらためて「一箱」の原点を見つめ直してみるのも良いと思います。
そもそも私達が始めたのは、不忍ブックストリートをお手本にした「両手で持てるだけの一箱」でお店を作るという「一箱」古本市でした。
バックヤードのストックはいくら置いてもいいのです。ただしお店に並べるのは一箱分。どんどん差し替えてもOKなのです。
このことを思い返して、改めて南陀楼さんと最初に話した時のワクワクが蘇ってきた気がしました。
さて、幅さんの素敵なお人柄や本当に本好きなその様子、改めての南陀楼さんとの会話などまだまだ書き足りませんが、長くなりましたのでひとまずここらへんで。翌日の北書店での幅さんのトークショーや、南陀楼さんと取材でご一緒したことなど、別の機会に書くことがあるかも知れません。
参加していただいた店主の皆様、お客様、ゲストのお2方、本当にありがとうございました。
最高に楽しい一日でした。早く次を開催したい思いでいっぱいです。
ニイガタブックライト:亀貝太治